小型船舶操縦士(ボート免許)とは?1級・2級の違い・受験資格・合格基準・費用まとめ
小型船舶操縦士免許――いわゆるボート免許は、1級・2級・2級(湖川)・特殊の4種類。よく聞かれる「1級と2級の違い」は船の大きさではなく航行できる範囲で、2級は海岸から5海里(約9km)まで、1級は無制限です。また1級を持っていても、特殊がなければ水上オートバイは操縦できません。このページでは、免許の種類・受験できる年齢・取得の3ルート・学科の問題数と合格基準・費用・申込みの期間・科目免除のルールまでを、試験機関であるJMRA(日本海洋レジャー安全・振興協会)の公式発表から整理しました。
最終更新:2026年7月28日
0このページの内容
1免許は4種類――1級と2級の違いは「どこまで行けるか」
操縦できる水面の範囲と船の種類によって、免許は次の4つに分かれています。
| 免許の種類 | 操縦できる水面 | 操縦できる船の大きさ |
|---|---|---|
| 一級 | 無制限(ヨットで世界一周も可能) | 総トン数20トン未満、またはスポーツ・レクリエーション用途に限定された長さ24m未満 |
| 二級 | 平水区域(湖・川・湾など陸岸にほぼ囲まれた水域)と、海岸から5海里(約9km)まで | 同上。ただし18歳未満は5トン未満に限定(第二号限定) |
| 二級(湖川) =第一号限定 | 湖・川などの内水面と指定された一部の海域 | 総トン数5トン未満かつエンジン出力15kW(約20馬力)未満 |
| 特殊 | 水上オートバイが航行できる区域(湖岸・海岸から2海里=約3.7km) | 水上オートバイ専用 |
- 一級・二級では水上オートバイに乗れません。逆に特殊ではボートを操縦できません。「自動車と自動二輪の関係」と同じで、両方乗るなら両方の免許が要ります。
- 18歳未満の二級は「5トン未満」に限定されますが、18歳になれば手続きなしで自動的に限定が解除され、次回の更新時に限定のない免許証が発行されます。
- 日本の小型船舶免許は、基本的に海外では使えません。小型船舶操縦士は国内法(船舶職員及び小型船舶操縦者法)にもとづく制度で国際的な取り決めがなく、各国が独自の制度を持っている(制度自体が無い国もある)ためです。逆に海外で取った免許を日本で使うこともできません。
2受験できる年齢――2級は15歳9か月から
受験できる年齢と、免許を受け取れる年齢は3か月ずれています。試験に受かってから免許申請までの期間を見込んだ設計です。
| 免許の種類 | 受験資格 | 免許取得資格 |
|---|---|---|
| 一級 | 17歳9か月から | 18歳以上 |
| 二級 | 15歳9か月から | 16歳以上 |
| 二級(湖川) | 15歳9か月から | 16歳以上 |
| 特殊 | 15歳9か月から | 16歳以上 |
身体検査の基準
身体検査に合格しないと、学科試験・実技試験を受けることはできません。基準は次のとおりです。
| 検査項目 | 基準 |
|---|---|
| 視力 | 両眼とも0.5以上(矯正可)。一眼が0.5未満の場合は、他眼が0.5以上でかつ視野が左右150度以上 |
| 色覚 | 夜間に船舶の灯火の色を識別できること(識別できない場合も、日出から日没までの航路標識の彩色が識別できれば、航行時間帯が限定された免許を取得可能) |
| 聴力 | 5m以上の距離で話声語(普通の大きさの声)の弁別ができること(補聴器可) |
| 疾病・身体機能の障害 | 軽症で小型船舶操縦者の業務に支障をきたさないと認められること |
眼鏡・コンタクト・補聴器が使えるほか、色覚に不安があっても時間帯を限定した免許で取得できる道が用意されているのがこの制度の特徴です。
3取り方は3ルート――教習所なら国家試験が免除されます
ボート免許の取り方には、大きく3つのルートがあります。どれを選ぶかで、費用も、そもそも国家試験を受けるかどうかも変わります。
| ルート | 内容 | 国家試験 | 教習時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 免許スクール コース |
マリーナ・ボート販売店・免許スクールの講習を受けてから国家試験を受ける。カリキュラムは各社が独自に設定 | 受ける | 一級=学科1〜2日+実技半日〜2日 二級=学科半日〜2日+実技半日〜2日 |
| 登録小型船舶 教習所コース |
国土交通省に登録された海洋・水産系の大学や高校(約50校)・民間教習所(約50団体)に入校。修了審査に合格すると学科試験と実技試験が免除 | 免除 (身体検査は必要) |
一級=学科24時間以上+実技12時間以上 二級=学科12時間以上+実技12時間以上 |
| 独学コース | 参考書と問題集で学科を独学。実技は知人に教わるなどの方法があるが制約が多い | 受ける | ― |
費用面では、免許スクールコースのほうが登録小型船舶教習所コースより安価に設定されているのが一般的です。「国家試験を受けたくない」なら教習所、「費用を抑えたい」ならスクールまたは独学+実技スクール、という選び方になります。
4試験の中身――身体検査・学科・実技を通常1日で
国家試験は身体検査 → 学科試験 → 実技試験の順に行われ、通常は1日で全部実施されます(実技だけ別日というパターンもあります)。身体検査に合格しないと、学科も実技も受けられません。
学科試験は「小型船舶の航行の安全に関する教則」の範囲から出題されます。一級・二級・特殊は四肢択一式、二級(湖川)だけは正誤式です。
実技試験の船と時間
| 試験の種別 | 試験船の基準 | 試験時間 |
|---|---|---|
| 一級・二級 | 総トン数5トン未満、長さ4m以上9m未満の滑走型船 | 約1時間15分 |
| 二級(湖川) | 総トン数5トン未満、長さ3m以上9m未満、出力15kW未満の船外機船 | 約30分 |
| 特殊 | 定員3名の水上オートバイ | 約20分 |
5学科の問題数と合格基準――65%では足りないことがあります
学科の問題数は種別ごとに違います。一級は64問で、これは二級と共通の「一般科目50問」に「上級科目14問」が加わったものです。
| 試験科目 | 問題数 | 一級 (64問) | 二級 (50問) | 二級湖川 (30問) | 特殊 (40問) |
|---|---|---|---|---|---|
| 小型船舶操縦者の心得および遵守事項(一般) | 12 | ○ | ○ | ○ | |
| 交通の方法(一般) | 14 | ○ | ○ | ||
| 運航(一般) | 24 | ○ | ○ | ||
| 上級運航Ⅰ | 8 | ○ | |||
| 上級運航Ⅱ | 6 | ○ | |||
| 交通の方法(特殊) | 10 | ○ | |||
| 運航(特殊) | 18 | ○ | |||
| 心得および遵守事項(湖川) | 10 | ○ | |||
| 交通の方法(湖川) | 8 | ○ | |||
| 運航(湖川) | 12 | ○ |
合格基準は2つある
- ① 科目ごとに半分以上の正解
- ② かつ、各科目合計問題数の65%以上の正解(端数は切り上げ)
具体的な必要正解数は次のとおりです。
| 試験種別 | 問題数 | 合格に必要な正解数 |
|---|---|---|
| 一級 | 64問 | 一般科目33問以上 かつ 上級科目10問以上(どちらも満たすこと) |
| 二級 | 50問 | 33問以上 |
| 二級(湖川) | 30問 | 20問以上 |
| 特殊 | 40問 | 26問以上 |
また、科目ごとに半分以上という条件もあるため、たとえば二級で「交通の方法(14問)」が6問しか取れていなければ、総得点にかかわらず不合格になります。
6費用――1級35,450円・2級30,300円(安くする方法あり)
国家試験の手数料は次のとおりです。身体検査・学科・実技の3つを合わせた額になります(これとは別に、スクールや教習所の受講料がかかります)。
| 試験の種別 | 身体検査 | 学科試験 | 実技試験 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 一級 | 4,250円 | 10,000円 | 21,200円 | 35,450円 |
| 二級 | 4,250円 | 4,850円 | 21,200円 | 30,300円 |
| 二級(湖川) | 4,250円 | 4,250円 | 17,900円 | 26,400円 |
| 特殊 | 4,250円 | 4,400円 | 19,000円 | 27,650円 |
なお、学科の一部科目免除を受ける人でも、学科試験手数料は全科目受験者と同じです。免除で安くなるのは時間であって、お金ではありません。
7申込みは「20日前から7日前まで」
受験申請は、試験開始期日(通常は学科試験が行われる日)の20日前から7日前までに、申請書類と試験手数料を添えて、試験地を管轄するJMRAの窓口へ提出します。免許スクール経由の場合は、多くをスクールが代行します。
試験日は試験地ごとに設定され、月に複数回ある地域もあります。ご自身の受験地の日程はJMRAの「試験日程と合格発表」でご確認ください。
申請に必要なもの
- 小型船舶操縦士国家試験申請書 1通(写真を貼っていないものは受理されません)
- 写真 縦45mm×横35mm 1枚 ※合格後の免許申請時にもう1枚必要なので、2枚まとめて作っておくと二度手間になりません
- 本籍が記載された住民票(写し)のコピー 1通(マイナンバーの記載がないもの)。すでに住所記載の小型船舶操縦免許証を持っていて変更がなければ不要
JMRA窓口の受付時間は、土日祝・年末年始を除く平日の午前9時〜11時30分と午後1時〜4時です。昼休みに窓口が閉まる点にご注意ください。
8落ちてもやり直しは軽い――省略・免除のルール
この試験は、一度合格した部分を持ち越せる仕組みが手厚く用意されています。全部が振り出しに戻ることはありません。
| 合格した試験 | 有効期間 | 再受験時の扱い |
|---|---|---|
| 身体検査 | 合格日から1年以内 | 再受験申請(進級時等を含む)で身体検査が省略され、身体検査手数料も不要 |
| 学科試験 | 合格日から2年以内 | 同じ資格の再受験で学科が省略され、学科試験手数料も不要 |
| 実技試験 | 合格日から2年以内 | 同じ資格の再受験で実技が省略され、実技試験手数料も不要。さらに一級と二級の間では、級が違っても実技が省略されます |
つまり、二級の実技に合格していれば、2年以内に一級を受けるとき実技は免除。一級へのステップアップは学科の上級科目14問だけで済むということです(すでに二級免許を持っている場合も、上級科目のみの受験になります)。
上級免許を取るときの科目免除は、今持っている免許証が失効していても受けられます。「昔取ったけど更新していない」という方も、その資格分の免除は生きています。
出典:JMRA「試験について/身体検査・学科試験・実技試験の省略」/同「免許制度について/3. 免許のステップアップについて」
9何から勉強すればいい?
学科は「小型船舶の航行の安全に関する教則」の範囲から出ます。効率のよい順序は次のとおりです。
- 交通の方法(14問)を最優先。航法(見合い関係)・灯火と形象物・信号は、覚えれば確実に取れて、しかも科目別の足切りがある科目です。灯火は「どの方向から見ると何色がいくつ見えるか」を図でイメージできると一気に安定します。
- 運航(24問)は配点が最大。エンジンの取扱い、係留・錨泊、気象、事故時の対応など実務寄りの内容で、範囲は広いが常識で解ける問題も多い分野です。
- 心得および遵守事項(12問)は、船長の責任・小型船舶操縦者の遵守事項・救命設備など。ここも暗記で確実に取れます。
- 一級を受けるなら、上級運航Ⅰ(8問)から手を付ける。海図の作図(コンパス・ディバイダ・三角定規を使う)と潮汐・針路の計算は、慣れるまで時間がかかるぶん、慣れれば確実な得点源になります。上級科目10問以上という独立した足切りがあることを忘れずに。
★対策アプリ「船舶免許ウカール」
この試験のために作った、スマホで使える学習アプリです。インストール不要(ブラウザで開くだけ)。1級・2級の切替に対応しています。
- 1,176問の演習問題(全問に解説と一次資料の出典つき)
- 本番形式の模擬試験(1級64問/2級50問・科目ごとの足切りと65%基準まで再現して合否判定)
- 忘却曲線にもとづく復習、弱点科目の優先出題、間違いノート
- 数字ドリル・暗記カード・対比表・用語辞典・図解(灯火や航法など図で理解する項目)
- 合格予測メーター(科目別バーで足切りの危険を表示)・学習時間の可視化
- 広告なしで使える買い切り(各科目の先頭10問と模試1回は無料)
+このページの出典
- 一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会(JMRA)(小型船舶操縦士の試験機関・講習機関)
- 同「免許制度について」(免許の種類・航行区域・年齢要件・身体検査基準・ステップアップ)
- 同「試験について」(試験の内容・学科の問題数と合格基準・実技・受験のしかた・申請方法・手数料・省略のルール)
- 同「試験日程と合格発表」
- e-Gov法令検索「船舶職員及び小型船舶操縦者法」