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第3章の1 一般小型船舶の運航の要点まとめ(教則ダイジェスト)
対象免許:1級・2級。この章の22節・要点211本を、課ごとに並べています。
最終更新:2026年10月3日
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本ページは国土交通省「小型船舶の航行の安全に関する教則」の内容をもとにした非公式の要点整理です。
実際の試験の出題内容・形式・基準や最新の内容は、必ず原文(教則 PDF)および試験実施機関の公式発表をご確認ください。
この章の目次
- 第1課 操縦一般(5節・要点47本)
- 第2課 航海の基礎(4節・要点40本)
- 第3課 船体・設備・装備品(3節・要点30本)
- 第4課 機関の取扱い(5節・要点49本)
- 第5課 気象・海象(2節・要点15本)
- 第6課 荒天時の操縦(1節・要点10本)
- 第7課 事故対策(2節・要点20本)
第1課 操縦一般
1-1 操縦の基本
- 小型船舶を発進させる場合は、必ずプロペラや船尾まわりの安全を確認する。
- ハンドルで操舵する場合、ハンドルを切った方向に船首が向く。
- 船外機に直付けのバーハンドルや船内機のティラーの場合は、動かした方向とは逆方向に船首が向く。
- 船内機船は、ハンドルや舵柄で舵板の向きを変えて水流の方向を変えて操舵し、プロペラの推進方向は変わらない。
- スロットル・シフト分離型でシフトレバーを操作するときは、スロットルを必ずアイドリング状態にする。
- 滑走型は低速から中速時にハンプ(船首が持ち上がり船尾が沈んだ姿勢)となり、出力を上げて早めに脱するのがよい。
- 波を船尾方向から受ける追い波は舵効きが悪くなり、船首方向から受ける向かい波は舵効きが良くなる。
- 旋回のためハンドルを切ると船尾が外側に押し出されるキックが起き、直近の障害物を避けるときに利用できる。
- 1軸右回り船は、横圧力により前進時は船尾を右に、後進時は船尾を左に振り、この作用は後進時に強い。
- 前進から急激に後進に入れると機関停止や損傷のおそれがあるため、停止のための後進は十分に減速した後に行う。
1-2 出入港・係留・錨泊
- 出入港は原則として夜間を避け、潮流などの外力の影響が少ない時を選ぶ。
- 港内又は出入り口付近では、できるだけ引き波を抑えるため徐行が原則である。
- 着岸するときの進入角度は、30度程度が基本となるが、周囲の状況や外力の影響、操縦特性を勘案して調整する。
- 係留場所に風や川などの流れがある場合は、風上や上流側から係留する。
- 小型船舶は、風や川などの流れで岸壁から艇を離さないよう、風下や下流側から解らんする。
- 錨泊する場所の底質は、錨の効きやすい泥、砂等がよく、岩、珊瑚等は避けた方がよい。
- アンカーとアンカーロープの間に入れるチェーンは、5メートル以上が適当である。
- アンカーが着底したら、ロープを水深の1.5倍程度まで繰り出して軽く止め、クラッチを中立にして後進惰力でアンカーを効かせる。
- アンカーが効いたら、ロープを水深の3倍程度まで繰り出して結び止め、強風や高波のときは5倍以上が望ましい。
- アンカーロープが張ったまま緩まないときは走錨と判断し、錨が効いている場合はピンと張ったり緩んだりする。
1-3 船体安定及びトリム
- 喫水は水面から船底までの深さ、トリムは船首喫水と船尾喫水の差をいう。
- ひらあしは、船首喫水と船尾喫水の差がなく、水面に対して水平に浮かんでいる状態をいう。
- おもてあしは、静止状態で船首喫水が船尾喫水より深く、船首が波に突っ込みやすく舵効きが悪くなる。
- ともあしは、静止状態で船尾喫水が船首喫水より深く、適度な船尾トリムはプロペラ効率や舵効きがよい。
- 復原力とは、波などで船が横傾斜したときに元に戻ろうとする力をいう。
- トップヘビーは重心が高くなった状態で、復原力が小さくなって転覆の危険が大きくなり、横揺れ周期が長くなる。
- ボットムヘビーは重心が低くなりすぎた状態で、復原力が大きくなり安定性は増すが、横揺れが激しくなり周期が短くなる。
- 積み過ぎは、十分な復原力を確保するために必要な予備浮力を減少させるので非常に危険である。
1-4 狭視界時における操縦、狭水道及び河口付近における操縦
- 狭視界時は速力を落とし、視界の利く範囲内で危険回避ができる速力とする。
- 狭視界時は、見張り員の増員、測深、レーダーの利用などあらゆる手段で衝突や乗揚げの危険を回避する。
- 狭視界時は、法定灯火を表示したり霧中信号を行い、自船の存在を知らせる。
- 狭視界時に周囲の状況や船位が分からなくなったときは、停留して視界の回復を待つ。
- 狭水道は、潮流の流れが止まる憩流時や弱い逆流時に航行するようにする。
- 狭水道では、できるだけ水道に沿って右側端を航行する。
- 狭水道では、大角度変針を避け、小刻みに変針する。
- 河口は川の流れと海の波がぶつかり三角波が立つことがあるので、できるだけ波の立つ時間帯を避けて航行する。
- 河川のわん曲部は内側が浅い場合が多く、川幅が急に広くなっているところは中央部が浅くなっている場合がある。
1-5 曳航時の操縦
- 曳航するロープは十分な強度のものとし、長さは両船の長さの和の3倍程度とする。
- 曳航ロープは、船体の中心線上に来るようにY字型にするなど止め方を工夫して、十分な強度のあるビットやクリート等に取る。
- 曳航の引き始めは極低速で行い、ロープが張ったら徐々にスピードを上げる。
- 海面が荒れてロープが跳ね上がるようなときは、ロープを延ばし、速力を下げる。
- 霧などで視界が悪くなったり、港内など狭いところを航行するときは、曳航ロープを縮め、速力を下げる。
- 被曳航船の荷物や人員は、操舵者と見張りを除いて曳航船に移し、船首が海面に突っ込まないようややともあしにする。
- 曳航中の変針は小刻みに行い、被曳航船は曳航船が変針した地点に来てから転舵する。
- 混雑している水域や障害物のある水域では、遊具の曳航を行わない。
- 遊具を曳航するときは、遊具を引く船に専属の見張りを行う者を乗船させる。
- バナナボートなどの遊具に乗る者には、ライフジャケットを必ず着用させ、頭部の保護具も着用させる。
第2課 航海の基礎
2-1 航海計器
- コンパスカードの読み方には、北を0度として右回りに1周を360度とする360度式と、N・S・W・Eの呼称を使う点画式がある。
- 磁北が真北より東にある場合を偏東偏差、西にある場合を偏西偏差という。
- 日本近海は4度から10度の偏西偏差があり、偏差は場所や年月によって変化する。
- 磁気コンパスは鉄器類の磁気の影響を受けると磁北を指さず東西どちらかにずれ、このずれを自差という。
- 偏差と自差を合わせたものがコンパス誤差で、方位測定では読みとった値にコンパス誤差の改正が必要である。
- GPSは、人工衛星から発射される電波を受信して、天候や時間を問わず現在位置をほぼ正確に測定できる。
- 小型船舶用レーダーには、操作資格なしでも運用できる出力5kW以下のものがあるが、無線局の開設申請は必要である。
- レーダーの表示方法は、真北が画面の上端にくる真方位指示と、船首方位が上端にくる相対方位指示が選べる。
- レーダーでは、方位よりも距離のほうが誤差が少なく正確に測れる。
- 北半球では、アナログ腕時計の短針を太陽に向けると、12時と短針の中間方向が南となる。
2-2 沿岸における航法
- 針路は、船首が向いているコンパスの指す方向をいう。
- 進路は、船舶が風や潮流の影響を受けて実際に進んでいく方向をいう。
- 緯度1分が1マイルであり、1,852メートルに相当する。
- 1ノットは1時間に1マイル航行する速力で、速力(ノット)は距離(マイル)を所要時間で割って求める。
- 対地速力は大地に対する速さ、対水速力は水面に対する速さで、風や流れがあると一致しない。
- クロス方位法では、位置の線が2本の場合は約90度、3本の場合は約60度に交差する物標を測定するのがよい。
- 位置の線が3本で一点に交わらず誤差三角形ができる場合は、三角形の中心を船位とする。
- 2物標が1直線に重なって見える方位線を重視線(トランシット)といい、位置の線として利用できる。
- 緯度は赤道を基準にして南北にそれぞれ90度まで示す。
- 経度は本初子午線を基準にして東西にそれぞれ180度まで示す。
2-3 航路標識
- 水源は港や湾の奥部・河川の上流を指し、標識の右舷・左舷は水源に向かって右側・左側を表す。
- 左舷標識は、航路の左端を示して標識の右側が可航水域であり、塗色は緑、トップマークは緑の円筒形1個、灯色は緑である。
- 右舷標識は、航路の右端を示して標識の左側が可航水域であり、塗色は赤、トップマークは赤の円すい形1個、灯色は赤である。
- 北方位標識は、北側が可航水域で南側に障害物があり、塗色は上部が黒・下部が黄、トップマークは黒の円すい形2個縦掲で両頂点上向きである。
- 東方位標識は、東側が可航水域で西側に障害物があり、塗色は黒地に黄横帯一本、トップマークは黒の円すい形2個縦掲で底面対向である。
- 南方位標識は、標識の北側に障害物があることを示し、塗色は上部が黄・下部が黒で、両頂点下向きの黒の円すい形2個を縦掲する。
- 西方位標識は、標識の東側に障害物があることを示し、塗色は黄地に黒横帯一本で、頂点対向の黒の円すい形2個を縦掲する。
- 孤立障害標識は、その位置又は付近の岩礁・浅瀬等の障害物を示し、塗色は黒地に赤横帯一本以上、トップマークは黒の球形2個縦掲である。
- 安全水域標識は、周辺に可航水域があり標識の位置が航路の中央であることを示し、塗色は赤白縦じま、トップマークは赤の球形1個である。
- 特殊標識は、工事区域等の特別な区域の境界や海洋観測施設を示し、塗色は黄、トップマークは黄の×形1個、灯色は黄である。
2-4 水路図誌
- 海図の水深は、これ以上下がることがないと考えられる最低水面からの深さをメートルで表し、実際の水深は通常これより深い。
- 海図の海岸線は最高水面における海と陸との境界を示し、実際の海岸線は通常これより海寄りになる。
- 山や島や灯台の高さは平均水面から、橋の高さは最高水面から、干出岩は最低水面からの高さをメートルで表す。
- 海図は上を北とし、地点の左右端の緯度目盛りで緯度を、上下端の経度目盛りで経度を読み取る。
- 日本の海図は現在は世界測地系であり、日本測地系の緯度・経度データを世界測地系で使用してはならない。
- 干出岩は、最低水面で水面上に露出する岩である。
- 暗岩は、最低水面になっても水面上に露出しない岩である。
- 洗岩は、最低水面になると水面と岩がほとんど同じ高さになる岩である。
- 海図の底質は、M(泥)、R(岩)、S(砂)、St(石)、Sh(貝殻)、Co(さんご)、Cy(粘土)で表す。
- 潮汐表には、標準港の毎日の潮汐や主要な瀬戸の潮流が記載され、海上保安庁より毎年刊行される。
第3課 船体・設備・装備品
3-1 名称・使用法
- 小型船舶は、航走状態により滑走型・排水型・半滑走型に分類される。
- 推進方式による分類は、船外機船・船内外機船・船内機船・ジェット推進船である。
- 用途による分類には、モーターボート、水上オートバイ、ヨット、小型漁船、遊漁船、小型旅客船(遊覧船)、交通艇がある。
- 船体各部の名称には、ハル(船体)、バウ(船首)、スターン(船尾)、トランサム(船尾材)、デッキ(甲板)がある。
- 船体各部の名称には、キール(竜骨)、フレーム(肋骨)、ビーム(梁)、ガンネル、チャイン、ストライプ、ブルワークもある。
- 係船設備には、ビット、クリート、フェアリーダー、バウアイ、ボートフック、フェンダー、ムアリングホールがある。
- 船灯設備には、マスト灯、停泊灯、右(左)舷灯(両色灯)、船尾灯がある。
- 排水設備には、ビルジポンプ、スカッパー、バケツがある。
- 舵装置には、ハンドル(バーハンドル・舵輪)、舵柄(ティラー)、舵板(ラダー)、舵角指示器がある。
- 遠隔操縦装置には、リモートコントロールレバー、スロットルレバー、シフトレバー(クラッチレバー)がある。
3-2 ロープの取扱い
- ロープを結んだりつないだりするロープの作業を、結索(ロープワーク)という。
- 一般的な三つよりロープは左よりなので、時計回りにコイルする。
- 合成繊維のロープには、切断面を焼き固めることで端止めができるものがある。
- もやい結びは、ロープで輪を作る代表的な結索法で、力がかかっても輪の大きさは変わらず簡単に解ける。
- まき結びは、一時的にロープを止めるときに使い、ゆるいと位置が変わり、強い力で締まると解けなくなることがある。
- 錨結びは、アンカーにロープを取り付けるときなどに使い、丈夫で強い力が加わっても簡単に解ける。
- 一重つなぎはロープの端と端をつなぐ結びで、解けるおそれのある場合は二重つなぎにする。
- 本結びは端と端をつなぐ結びだが、ロープの太さが異なるときや滑りやすいロープでは解けてしまう。
- 止め結びは、ロープの端がほつれるのを防ぐときなどに用いるが、結びが締まると解けにくいことが欠点である。
- 8の字結びは止め結びと用途が同じで、結節が少し大きくなるが、結びが締まっても解きやすい。
3-3 発航前の点検
- 発航前の船体の点検には、船体の安定、浸水の有無、荷物の積み付け状態、船体の設備と属具の確認が含まれる。
- 一般備品の点検は、水路図誌・航海用具、通信設備、法定備品以外の備品・部品や工具、水・食料、医薬品が対象である。
- 法定備品の救命設備は、小型船舶用救命胴衣、救命浮環又は救命浮輪、信号紅炎である。
- 法定備品の消防設備は、小型船舶用粉末消火器又は小型船舶用液体消火器である。
- 法定備品の排水設備はバケツ及びあかくみで、ビルジポンプを備えている場合は不要である。
- 汽笛は全長12メートル未満の船は不要、号鐘は全長20メートル未満の船は不要である。
- 音響信号器具は、汽笛を備えるものは不要で、笛でもよい。
- 法定備品の船灯は、マスト灯、舷灯又は両色灯、船尾灯、停泊灯、紅灯である。
- 法定備品の航海用具には、黒色球形形象物と航海用レーダー反射器も含まれる。
- 装備品の点検では、法定備品等が整備され有効期限が切れていないか、適切な場所に配置されているかを確認する。
第4課 機関の取扱い
4-1 基礎知識、主要系統の構成・役割
- ボート用エンジンは、使用頻度が少なく、常に塩分を含む湿気にさらされ、衝撃や動揺が激しく、高負荷での運転を強いられる。
- ガソリンエンジンは混合気に電気火花を飛ばして爆発・燃焼させ、ディーゼルエンジンは高圧縮した空気中に軽油を噴射し圧縮熱で自然着火させる。
- エンジンは、吸入・圧縮・燃焼(爆発)・排気という4行程を1サイクルとし、これを繰り返している。
- 2ストロークエンジンは、ピストンが1往復ごとに1回燃焼し、出力が大きいが燃料消費が多く、排気の有害物質含有度が高く騒音も大きい。
- ガソリンエンジンの燃料は、燃料タンク、燃料コック、燃料フィルター、燃料ポンプ、燃料噴射装置(キャブレター等)の順でシリンダーに送られる。
- ディーゼルエンジンの燃料は、燃料タンク、燃料コック、セジメンター、燃料ポンプ、燃料フィルター、燃料噴射ポンプ、燃料噴射バルブの順でシリンダーに送られる。
- 始動系統はスタータースイッチ、バッテリー、スターターモーターの順で、充電系統はVベルト、オルタネーター、整流器、バッテリーの順である。
- 4ストロークエンジンはエンジン内部のオイルを循環させて潤滑し、2ストロークエンジンはガソリンにオイルを混合させて潤滑する。
- エンジンの冷却方法には直接冷却式と間接冷却式があり、いずれの方式でも外部の水を取り込んで冷却する。
- 船内外機方式はユニバーサルジョイント、船外機方式はドライブシャフトでエンジンの動力をクラッチへ伝え、プロペラシャフトからプロペラへ伝える。
4-2 発航前の点検
- 発航前には、ビルジが船底に溜まっていないか、ビルジに油分が混じっていないかを視認で点検する。
- エンジンの取り付けボルトに緩みや錆がないかを、視認及び手触りで点検する。
- 海水フィルターは、異物が入っていないか、目詰まりはないかを視認で点検する。
- エンジンオイルはオイルレベルゲージで油量、色、粘度を点検し、ギヤオイルはこれらに加えて異物の混入の有無も点検する。
- 燃料コックは開いていることを視認及び手動で確認し、燃料フィルターはゴミや異物がないか、水が溜まっていないかを視認で確認する。
- セジメンターは水が溜まっていないか、混入していないかを視認で確認し、燃料系統の配管等は漏れがないかを視認及び手触りで確認する。
- Vベルトは損傷、たわみ、ゆるみ等を視認及び手触りで確認し、冷却清水はタンクのキャップを開けて視認で確認する。
- バッテリーは、ターミナルの緩み、電解液の量や比重、本体の取付けを視認及び手触りで確認する。
- メインスイッチは入(ON)と切(OFF)を視認又は作動で確認し、キングストンバルブ(海水取入れ弁)は手動で開閉を確認する。
- エアベントスクリュー(通気口)は開いていることを手触りで確認し、プライマリーポンプは適切な硬さであることを手触りで確認する。
4-3 基本操作
- 始動時は、キングストンバルブ(海水取入れ弁)がある機種はバルブが開いていることを確認し、換気を行い、リモコンレバーの中立を確認する。
- 寒冷時など必要に応じて、ディーゼルエンジンはプレヒート(予熱)を行い、ガソリンエンジンはチョークを使用する。
- 緊急エンジン停止スイッチが装備されている船外機船などは、コードの一端を身体の一部に取り付けた後、プレート(クリップ)をスイッチに取り付けてから始動する。
- 始動後は、冷却水が循環しているか、エンジン音・振動・排気や排気色に異常はないか、各計器を確認する。
- 暖機運転は冷却水温度計を確認しながら行い、表示ランプのある機種はランプが消えるまで行う。
- エンジンを停止するときは、シフトレバーが中立にあることを確認し、アイドリング状態で冷機運転を行ってから計器を確認する。
- ディーゼルエンジンは、停止ボタンやレバーで停止する機種の場合、エンジンを止めた後にキースイッチをOFFにする。
- 航走可能な範囲内でドライブユニットや船外機を上げることをトリムアウト、下げることをトリムインという。
- 水面上に跳ね上げることをチルトアップ、完全に下げることをチルトダウンといい、チルトアップでプロペラの点検やゴミの除去ができる。
4-4 運転中の注意事項
- 常用出力は連続最大出力の80〜85%程度で航行する出力で、このときの回転数は連続最大出力時の回転数の93〜95パーセント程度に相当する。
- 冷却水温度計は、規定内の温度を示しているかを確認し、オーバーヒートのチェックをする。
- 油圧計は、規定の圧力を示しているかを見て、オイル漏れやオイルが正常に循環しているかをチェックする。
- 電流計は、マイナスを示していないか、大きくプラスを示していないかを見て、オルタネーターの作動、充電、漏電などをチェックする。
- 電圧計はバッテリーの電気容量を、燃料計は燃料の残量と航行できる残時間数をチェックする。
- 回転計では、エンジン回転数と船の速度がいつもと同程度か、エンジン回転数にばらつきはないかをチェックする。
- 異音がある場合は原因を調べる。ノッキング(異常燃焼)、Vベルトのすれるような音、ギヤのガラガラ音などがある。
- 異臭がする場合は原因を調べる。油の焼けるようなにおいはオーバーヒートの例である。
- 異常振動の原因には、船体の振動ではプロペラの変形、エンジンの振動では燃料不良による異常燃焼がある。
- 異常を感じたら回転数を徐々に下げ、中立にして変化を確認し、原因が不明ならできるだけ停止せず低速で帰港か最寄りの陸地へ向かう。
4-5 定期点検項目
- 日常点検は使用時ごとに必ず行い、燃料系統では燃料の残量、パイプ・ホースの損傷や漏れ、セジメンターの水やゴミを確かめる。
- 日常点検の潤滑系統では、エンジンオイルとギヤオイルの量、オイルの汚れ及び粘度の具合、異物の混入の有無を確かめる。
- 日常点検の冷却系等では、冷却水の量(間接冷却の場合)、取入れ口の付着物、循環経路の詰まり、Vベルトの損傷や緩み、海水循環路の清水洗浄を確かめる。
- 定期点検は、メーカーの指定する時期や方法に従って行い、実施する項目はエンジンごとに異なるので取扱説明書や整備手帳で確認する。
- 格納するバッテリーは、ターミナルを外すか別に保管し、30〜45日ごと又は比重が仕様以下に落ちた場合に充電する。
- 寒冷地での格納では、エンジン内の冷却水系統に溜まった冷却水を専用排水口から完全に抜いた後、確実に締めておく。
- シーズン前の点検では、バッテリーの容量(比重)を確認して結線し、冷却水専用排出口が確実に締まっているかを確認する。
- 防食亜鉛(アノード)は損耗が1/3〜1/2程度で交換し、海上係留している船は陸揚げした場合に必ず確認する。
- Vベルトは支障がない限り使用できるが、交換にエンジン据付ボルトを外す必要がある機種では、最初に予備ベルトを入れておくと良い。
- バッテリーは、充電してもスターターモーターや電装品の作動が鈍かったり、バッテリー上がりを繰り返している場合は交換する。
第5課 気象・海象
5-1 天気の基礎知識
- 天気図では、矢の向きが風向を表して風が吹いてくる方向に矢が突き出し、矢羽根の数が風力を表す。
- 高気圧は、北半球では時計回りに等圧線と約30度の角度で中心から外へ向かって風を吹き出し、中心部では下降気流が発生して一般的に天気はよい。
- 低気圧は、北半球では反時計回りに中心に向かって周囲から風が吹き込み、中心部では上昇気流が起こり雲が発生して一般的に天気は悪い。
- 寒冷前線は、発達した積乱雲により突風や雷を伴い短時間で断続的に強い雨が降り、通過後は風向きが急変して気温が下がる。
- 温暖前線は、層状の厚い雲が広がって近づくと気温と湿度が次第に高くなり、弱い雨が絶え間なく降る。
- 閉塞前線は寒冷前線が温暖前線に追いついた前線で、停滞前線は気団同士の勢力が変わらず同じ位置に留まり、梅雨前線や秋雨前線がこれにあたる。
- 単に風速と言えば観測時の前10分間における平均風速のことで、平均風速の最大値を最大風速、瞬間風速の最大値を最大瞬間風速という。
- 海陸風では、日中は暖まりやすい陸上に向かって風が吹き、夜間は冷めにくい海上に向かって風が吹き、入れ替わるときはほぼ無風状態の朝凪・夕凪になる。
- 波は風によって発生し、風力が強いほど、吹く時間が長いほど、吹く距離が長いほど、風の息が強いほど大きな波が発生する。
- 突風の前兆には、西に積乱雲(入道雲)や稲光が見える、西の水平線が凹凸している、にわか雨が降ったり止んだりする、急に気温が低下するがある。
5-2 潮汐・潮流の基礎知識
- 潮汐とは月と太陽の引力により海面が周期的に上下する現象で、最も高くなったときを満潮(高潮)、最低になったときを干潮(低潮)という。
- 満月や新月の頃は大潮といって潮汐が最も大きく、半月の頃は小潮といって潮汐が最も小さくなる。
- 満潮と干潮は約6時間毎に繰り返すが、周期は6時間より長いので、毎日少しずつ時間がずれていく。
- 潮流は潮汐に伴う海水の周期的な流れで、上げ潮に伴う流れを上げ潮流、下げ潮に伴う流れを下げ潮流という。
- 潮流の向きが変わるときのほとんどの流れが停止している状態を憩流といい、流向は風向とは逆に流れていく方向で表す。
第6課 荒天時の操縦
6-1 荒天時の操縦
- 風浪に対して直角に航行し波を船首方向から受ける場合は、他の方向に比べて転覆などの危険度が最も低くなる。
- 波を斜め前方(30度程度)から受けると衝撃を和らげられるが、船首が波下側へ落されると波と平行になり最も危険な状況になる。
- 船にとって最も危険な波は横波で、横から波頭の崩れた大きな波や巻き波を受けると一瞬にして転覆する危険がある。
- 波の周期と船体の横揺れ(ローリング)の周期が同じになると、横揺れが激しくなり、思わぬ危険な状態になることがある。
- 追い波で特に危険なブローチングは、波の斜面を下っているときヨーイングが大きくなり舵が効かなくなって、船尾が横滑りし波に対して横倒しになることである。
- 追い波で速力の速い船舶は、波の斜面を上るときは増速し、次の波に突っ込まないよう波を越える直前から減速して絶えず速力調整する。
- 追い波で速力があまり早くない場合は、波の進行速度と同じくらいの速力とし、波の背面(登り斜面)に止まるようにする。
- 三角波は波の方向が不定で波長も短く非常に危険なため、発生しそうなところは迂回し、航行するときは小波のときに素早く通過する。
- 航海計画を立案するときに、必ず避難場所を選定しておく。
- シーアンカーは船首から投入すると水中でパラシュートのように膨らみ、船首を波に立てて横波を受けないようにし、漂流速度を抑える。
第7課 事故対策
7-1 事故防止及び事故発生時における処置
- 出航前には、航行予定水域を調査して危険物や漁網を事前にチェックし、安全な航行コースを設定しておく。
- 見張りでは、自船の周囲全ての方向に他船がいないかを常時確認し、他船を確認したら他船の動向を絶えずチェックする。
- 衝突したら、ただちにエンジンを停止し、乗船者の死傷の有無、船体の損傷や浸水がないかを調べる。
- 衝突した船どうしは、衝突の状況を確認してから引き離す。急に離すと破口から一気に浸水する場合がある。
- 乗り揚げたら、離礁が可能か調査し、損傷を拡大したり破口が大きければ沈没するので、いきなり後進してはならない。
- 離礁できない場合や、離礁しても航行できない場合は、ただちに救助を要請し、アンカーやロープを使って船固めをする。
- 浸水して沈没しそうな場合は、ライフジャケットを確実に着用し他の救命器具を用意して、早めに水中に避難し、沈没船に巻き込まれないようにする。
- 火災時は、火災発生場所が風下になるように操船してエンジンを停止し、火元がエンジンの場合は燃料コックを締めて燃料の供給を絶つ。
- 転覆して沈没しそうな場合は、引きずり込まれないよう離れるが、陸岸まで確実に泳げる状況以外は、泳がないで体力を温存し救助を待つ。
- 航行中に異常を感じたら、まずスロットルを戻して原因を調べ、停止すると始動できない場合があるのでエンジンの停止には注意が必要である。
7-2 人命救助、救命設備の取扱い
- 要救助者に近づいたら、機関を中立にして惰性で近づく。
- 落水者は、大声を出す、ライフジャケットの笛を吹くなどで自分が落ちたことを知らせ、できるだけ泳がないように体力を温存する。
- 同乗者の落水を目撃したら、即座に落水側に転舵するとともにエンジンを中立にし、プロペラを落水者から離す。
- 落水者の位置を視認しやすくするため、昼間は自己発煙信号、夜間は自己点火灯を救命浮環等に連結して投下する。
- 落水者の収容では、片舷に加重がかかりすぎると転覆する危険があるので、船尾側に導いて後ろから収容するとよい。
- 救助後、呼吸や心拍が止まっている場合は胸骨圧迫(心臓マッサージ)などを行い、呼吸がある場合は嘔吐・窒息に注意して意識不明者を横向きにする。
- ライフジャケットは、落水した際に体を浮かせて救助を待つための装備で、船上では常に落水の危険があるので必ず着用する。
- 救命浮環は、救命索の端を船に結ぶか手で離さないようにして落水者の方向(転落者よりも遠く)へ投げ、つかまったことを確認してたぐりよせる。
- 小型船舶用信号紅炎は、紅色の炎を連続して1分以上発し、手持ちで使用するが、遠方からも確認できるようにできるだけ高い位置で振りかざす。
- 小型船舶用火せんは、緊急時に救助船舶又は航空機を確認した時に使用し、上昇高度100メートル以上で2つの赤い火花を打ち上げる。
ほかの章
出典
- 国土交通省「小型船舶の航行の安全に関する教則」(https://www.mlit.go.jp/common/001179926.pdf)
上記の内容をもとに、アプリ「船舶免許ウカール」の制作者が要点を抜き出して整理したものです。国土交通省・試験実施機関が作成・監修したものではありません。
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船舶免許ウカールでは、分野別の演習・本番形式の模擬試験・間違えた問題の復習まで、1つのアプリで進められます。教則ダイジェストもアプリの中で読めます。